モバイバル・コード

 外れかけた携帯電話本体の裏面はそのままで、雷也は携帯を表面に戻す。


 画面は扉を映していた。どこかで見た事ある扉だ。
 

「ここ……あの応接間……だよね?」



 いつの間にか愛梨がオレの隣に座り、パーカーの裾をギュっと掴んでいた。


 オレじゃなくて彼氏の雷也の裾を掴むべきだろ……。



 一瞬だけ口から出かけた言葉も、画面の映像の迫力にかき消された。



 そうだ、ここは昨日訪ねた『応接間』のあの扉だ。 



 三人で机の上の携帯を食い入るように見つめる。



 この独特な段差。



 撮影者とおぼしき人物は、月明かりで照らされた段差を上がり、正面にある机と椅子をゆっくりと映し出す。



「机の上に……白い紙じゃないか?」



 雷也の声色がうわずっている。


 暗くて読めないが、白い紙に漢字と思われる文字が書いてある。


 オレの脈拍も急上昇し、愛梨の心臓の音は確かに感じていると思う。




 カメラが紙に書いてある言葉に……。



 近づいた。