『勇気が欲しい』

と、あなたは言った
聞こえるか、聞こえないかわからない声で…
 泣いていたのか?
顔を見ずに 俺はスタスタ歩いていた
 早く離れたかった
足早に歩く 俺を彼女は止めた

『私にも…勇気出せるかな』

『さあ?』


俺は曖昧な答えを出した
今日一緒にいたのは ただの偶然
 俺には愛しい人がいる
そいつが待ってるから
そいつの笑顔を早く見たいから…
 俺は避けるように…
言いたい事は大体予想ついた

『私…、あのね、私…』

 俺の足が止まる


『私…あなたが好きなの……』


……俺は答えられずそれを無視した
他を考えよう あいつの事を…
足音が後から聞こえないのが
 寂しい 寂しい…寂しい…!!!
後ろを振り向いた俺の目には
 もう 彼女の姿はなかった
俺は…
 一人の天使を失ったのかもしれない
俺にとって
 もしかしたら一番の天使だったかもしれなかったのに…
ただ… 片翼だったけれど…
 飛べなかったけれども…