不幸ネット

「ああそう。分かった。今度きっちり見てあげる。でもね、いい? 上司に対するその態度、そっちの方も今度みっちりと指導してあげるから」

 舌打ちをしながら、上沼が私の横を通り抜けていく。

 グシャ、と床に散らばった書類が無駄に高いヒールに踏まれて無残に歪んだ。

 何だ、あっけない。

 最低でも平手打ちぐらいは覚悟していたのに、終わってみれば何の事はない。

 激昂していても社会人として最低限の嗜みは持っているようだ。

 それにしても。

「ふふ……」

 声が漏れた。

 初めからこうしていれば良かったのかも知れない。

 必要以上に遠慮しているから余計につけ上がるんだ。

 私の中でまた一つ何かが壊れていく気がしたーー