不幸ネット

「はあ……」

 ほんの一瞬の出来事。

 今まで一度だって聞いた事のない、上沼の翳りを含んだ溜息。

 私に対する嫌味な溜息はもう耳にタコができるほど聞いていたけれど、こういったものは初めてだ。

 キーボードを叩く私の指がほんの少し止まる。

 やっぱりまだ小野田部長との件は解決していないんだ。

 所詮、上沼も女という事か。

 背中から伝わってくる哀愁みたいなものに、私は白い目を向ける。

 どうせなら、部長にさっさと捨てられて転がり落ちていけばいいんだ。

 小野田に捨てられたら上沼はどうなるだろう。

 今までは自身の行き過ぎた行動も、おそらく小野田によってなんらかのフォローがあったはず。

 その後ろ盾がなくなれば、もう今までのように好き勝手はできなくなるかも知れない。

 私はそんな事を期待した。