不幸ネット

「いや、若いっていいな、って」

 しみじみと言う私が面白かったのか、美樹は声を押し殺して笑った。

「良美さんも充分若いから。私と二つしか変わらないじゃん。駄目だよ、そういう発言から女は老けるんだから」

 確かにそうかも知れない。だけど。

「だって私なんか、二十七にもなってまだ結婚の予定もないしさ。あと二、三歳若ければ、もうちょっと気持ちにも余裕出るんだけどな」

「大丈夫だって。良美さん可愛いんだから、結婚相手だってその気になればすぐに見つかるでしょ」

「もー、またお世辞ばっかり」

「ほんとだってば」

 朝のこの短いやり取りが私にとっての一番の癒し。

 でも、それもほんの束の間。

「おはよ」といつものように偉そうに出社してくる上沼の姿を見て、私は無感情を顔に貼り付けた。