不幸ネット

「それにしても、ちょっとスカッとしたね」

 帰りの居酒屋。

 ファジーネーブルで顔を赤くしている美樹は満足そうに笑みを浮かべた。

「結局車の故障って何だったんだろう?」

 故障は故障なんだから、別に詳しく知る必要はない。

 でも私は気になっていた。

「何かぁ、タイヤがパンクしてたんだってぇ」

 呂律が怪しい美樹は「営業の多田さんに聞いた」と付け加える。

「しかも四本とも、だってさ」

「悪戯にしちゃ悪意を感じるよね」と美樹は笑いながらグラスを傾けた。

 四本。

 普通に乗っていて、タイヤ全部が同時にパンクするなんて事はまずあり得ない。

 私は少し背筋に冷たいものを感じた。