不幸ネット

 何とか始業の五分前に会社前に到着した私は、お釣りを待つのももどかしく、半ばひったくるように受け取ってタクシーを飛び出た。

 エントランスに向かって全力で走る。

 せっかく着替えた服も、背中を伝った汗でじっとりとしていた。

 タイミング良く一階に到着したエレベーターに素早く身を滑り込ませ、五階のボタンを押す。

 何とか間に合った……

 上がった息を整えながら、点灯する階表示へと視線を送った。

 さて、今日は朝からどんな一言をお見舞いされるのか。

 一難去ってまた一難。

 ほっとしたのもつかの間、私はなるべく心を無にするよう準備した。