不幸ネット

 うわ、最悪……

 鏡に映った自分の顔を見て溜息をつく。

 こんな顔で出社したら、みんなどんな顔をするだろう。

 二十七にもなってこんな醜態をさらすのは嫌だけど、今はそうも言っていられない。

 とにかく始業時刻までには会社に入らないと。上沼の朝からの小言は今日のところは我慢しよう。

 私は逸る気持ちを抑えながらフロントガラスの先を見た。

 良かった、思ったより空いてる。

 時刻を確認すると八時四十二分に表示が変わったところだった。

 周りの景色を確認して、今自分がどの辺りまで来ているかを確認する。

 T商事って事は、あと半分ぐらいか。

 私はひとまず胸を撫で下ろした。この調子で行けばぎりぎり間に合う。

 上沼よりは確実に遅くなってしまうけれど、完全な遅刻よりはまだマシだ。