「いや、今日はちょっと……」

 せっかくの誘いだったけど、正直今日は早く帰って休みたかった。

「そっか。まあ、あんまり気にしないでね? 愚痴だったら私、いくらでも聞くから」

 伏し目がちに言うと、美樹は「それじゃお先に」と残して会社を出て行った。

 私も帰ろう。

 それからしばらくして、「お疲れさまでした」と社内に残った数人に声をかけて、私はいそいそと会社を出る。

 初夏の夕焼けに染まったビルが眩しい。

 今日はとんだ災難だったな、と私は改めて思いながら家路へと就いたーー