不意にこちらへと振り返った上沼にぎょっとした。

 何か言葉を返そうと口を開きかけるけど、そうこうしている内に上沼はくるりと背を向ける。

 何よ「今後あなたも気をつけて」って。

 勘違いだったのなら、素直に謝ればいいだけの話。どうしてこうも一言多いんだろうか。

 さっきの屈辱が鮮明に蘇る。

 あまり思い出すとまた涙が出そうだったので、私は何もなかったように業務に集中した。

 隣では美樹が得心したような表情を浮かべていた。