上沼の顔を思い浮かべているのか、美樹は眉をひそめた。

「だからさ、ちょっとぐらい日頃の鬱憤を晴らせれば、って思って」

 心配そうに覗き込む美樹の瞳が私の顔を捉えた。

「ありがと。でも、やっぱり不謹慎だよ。それに、そんな事したって、実際相手が何も知らなければ仕返しにもならないしね」

 私は、出来るだけ美樹の気持ちを無下にしないよう努めて明るく言った。

 まだ美樹は何か言いたげだったけど、私がこれ以上は応じない、とさりげなく態度で示すと、この件についてそれ以上は何も言ってこなかったーー