良美が面会室を後にして、私はしばらくしてから留置場を出た。

 梅雨前の、少し湿った風が私の髪をさらった。

 もうすぐ梅雨、か。

 真っ青な空を見上げる。

 未だに実感が湧いてこなかった。

 良美は、自分が犯した"罪"について、もう諦めているようだった。

 呪いに操られて、自分が上沼を殺してしまったとーー

 無実を主張すると思っていたのに、彼女の目はもう輝きを失ってしまっていた。

「良美さん……」

 私は留置場へと振り返る。

「サヨウナラ……」