「何かもう……私、美樹ちゃんが男だったら確実に惚れてたと思う」

 出そうになった涙をぐっと飲み込んで私が言うと、美樹は「ええっ!?」と頓狂な声を上げた。

「ちょっと良美さん? 私、"そっち"には興味ないんだからね?」

「分かってるよ。ものの例えだってば」

 何だか微妙な空気になってしまい、私たちはぷっ、と吹き出した。

「ちょっと元気になってきたのかもね。今の良美さん、いい顔してたよ」

「そう、かな?」

「うん! あ、でも油断は禁物だけどね。まあ、この事件が解決する頃には、良美さんもゆっくりできるようになってるよ」

 美樹が穏やかな表情で言った。