不幸ネット

「今ね、会社でどうしようかって事になってる」

 どうしようか、と言うのは警察に届け出るか、という事だろうか。

「まだ今日だけの話だから、もう少し様子を見ようって事にはなってるんだけど……さすがに普段の退勤の状況からして、周りもちょっと気になってるみたい」

「家には……行ってみたの?」

「小野田部長がね。何だかんだそれらしい理由をつけてたけど、案の定」

 美樹が視線を落とした。

「そっか。行ったのは業務が終わってから、だよね?」

 私の言葉に美樹はうなずいた。

 嫌な汗が背筋を伝うのを感じた。

 小野田が上沼のマンションに行ったのなら、遅くとも明日には事態について何か分かるだろう。

 不倫をしていたぐらいだから、合鍵ぐらいは持っていてもおかしくない。

 上沼が自宅マンションにいるとは限らないけれど、いないのであればそれはそれで新たな情報だ。