不幸ネット

「今日ね、上沼、会社に来なかったんだ」

 え? と私は美樹の顔を凝視した。

 上沼が出社していない。

 私は美樹の次の言葉が気になった。

「連絡もつかなくて。非常識な人だけど、さすがにそういう事をするような人じゃなかったからさ」

 確かに上沼は、人間性は決して褒められたものではなかったけれど、社会人としての嗜みはそれなりに持っていた。

 その上沼が無断欠勤。

 会社を休んだ事には何かわけがあったとしても、この時間にもなって何の連絡もないのは、普段の上沼からすると想像もつかなかった。

 何か緊急の用でもできたのだろうか。

 緊急……

 私は背筋が少し冷たくなった。