少し間を置いて今度は玄関脇のインターフォンが鳴ったので、私は玄関へと向かう。

 ドアを開けて美樹の顔を見るや否や、私は柔らかい感触に包まれていた。

「本当に心配したんだよ……っ!」

 涙声でそう言った美樹の吐息が、私の耳をくすぐった。

「あれから一回も連絡取れないし、昨日の晩からはもう電話も繋がらないし……ほんと、どこかで良美さん……」

 美樹は言葉を詰まらせた。

「でもとりあえず良かった……ちゃんと家にいたんだね」

 返す言葉も見つからず、私は両手を投げ出したまま美樹の腕の中で立ち尽くしていた。