そこからの事は正直あまりよく覚えていない。

 自分がどうやって家まで帰ってきたのか。

 ただ一つ言える事は、私は唯一の理解者を自らの手で失ってしまった事。

 もう、美樹には合わせる顔がない。

 けれど、それでいいと思った。

 私は疲れてしまった。

 何もかもが嫌になってしまった。

 考える事も、前向きに頑張る事も。

 仕事の事さえも。

 私は自分のマンションの玄関で膝をつき、魂が抜けたように天井を見上げていた。

 動かないといけないんだろうけど、そんな気力はもう残されていなかった。