「良美さん?」

 美樹が心配そうに私の顔を覗き込む。

 嫌だ。

 私は美樹から少し距離を取った。

「良美さん、お願い。落ち着いて? 別に特別な事なんかじゃないから。風邪引いたら病院で診てもらうよね? それと一緒。良美さん、ここ最近精神的にも参ってるみたいだったから、心の調子がどうかちょっとお医者さんに診てもらうだけだから」

「嫌だ……だって私、普通だもん……病院にかかる事なんて何もないよ。お願いだから、そんな目で私を見ないで……」

 目から涙が滲み出す。

 首を振ると、パタパタ、と涙の雫がソファに水玉模様を作った。