「ごめん。何か私……」

「いいよいいよ。きっと、疲れてたんだね」

 私の言葉を制して、美樹は優しく肩に手を添えた。

「もう時間も時間だし、今日は泊まっていきなよ。お風呂もお湯、張ってあるからさ。ゆっくり浸かって酔いも覚ますといいよ」

 美樹が穏やかな表情で私に微笑みかける。

「ありがとう……」

 そう言って何気なく視線を落とすと、私は美樹の左手首辺りに違和感を感じた。

 そこには、絆創膏が二枚貼られていた。

 さっきまでの私の記憶に、そんなものはなかった。

「ねえ、それ」

 気になって指差す。

「あ、いや、何でもないよ。ちょっと、さっき引っ掻いちゃって……」

 歯切れの悪い返事に私は嫌な予感がした。