不幸ネット

「お待たせ」

 隣の部屋から戻ってきた美樹は、手にした部屋着を私に差し出した。

「廊下の右手がトイレで、左手がバスルームだから。脱衣所もあるし、そこで着替えておいでよ」

「分かった。じゃあちょっと借りるね」

 部屋着を受け取り、そちらへと足を伸ばす。

 脱衣所のドアを閉めると早速着替える。

 いいなあ、脱衣所。

 今のマンションに決める時、セパレートの物件は選んだものの、脱衣所まではとてもじゃないけど望めなかった。

 明らかに予定していた家賃をオーバーする物件ばかりだったからだ。

 このぐらいのマンションだと、家賃ってどうなってるんだろう。

 間取りやおおよその築年数、駅までの距離。

 いろんなものを考慮していく。

 ざっと十万ちょっとってところかな。

 とてもじゃないけど、私に払える金額ではない。

 私は溜息をついた。

 ていうか、人の家で何考えてるんだろ、私。

 下世話な考えを打ち消すように私は頭を振った。

 早く戻ろう。

 美樹に渡された部屋着は思ったよりもフィットしていて、とても着心地が良かった。