不幸ネット

「私のマンション、ここから十分ぐらいだから。途中にコンビニがあるから、そこでお酒も買って帰ろ! あ、あと、おつまみも」

 美樹のマンションへ行くのは今回が初めて。

 いつも仕事帰りに行く鳥八とは反対方向へと歩きながら、周りの景色に視線を泳がせる。

 職場から近いっていいな。

 家が近いと残業しがちになるとはよく聞くけれど、私達みたいなほとんど残業しない人間にとっては、職場までの距離は近いに越した事はない。

 そうすれば、この間みたいに多少寝坊してもあそこまで慌てる事もない。

 寝坊したのは自分の責任だとしても、女の朝というのは何かと忙しい。

 化粧をしたり、髪を整えたり。

 私は女で良かったと思っているけれど、その点においては男の人が羨ましかった。