不幸ネット

 人を好きになる気持ちに罪はない。

 たまたまそれが同じ職場の人間だったというだけで、要はその関係を利用して悪事を働かなければいいだけなのだ。

 学生時代と違って、社会人にもなればよほど積極的に行動しない限りは出会いの場も少なくなってくる。

 同じ業務を通して苦楽を共にしていたら、自然とそういった感情が芽生えるのは人としてごく普通の事。

 私はこの二人の関係を静かに見守っていこうと思った。

「じゃあ、行きますか」

 ちょうど身支度を整えた美樹が、私に合図を送った。

「うん」

 私はなんだか微笑ましくなって、ふふっ、と笑みを返した。