ー帰り道

「…」

「…」

この沈黙どうしたらいいんだ。

何を話せばいいのか。

「ねえ、星くん?」

「なんですか?」

「星くんはどうして好美のこと好きになったの?」

「それ聞いちゃいますか?」

「聞くに決まってるでしょ!好美の友達としては聞かないわけにはいかないでしょ?教えて!」

「新入生歓迎会の時にダンス部のダンスをみてやけに小さい人いるなって最初は思ったんです。背が小さいけど誰よりも笑顔で楽しく踊ってるなって思って。最初はそれだけでした。それで昼休みたまたま先輩が渡り廊下で練習してるのみて、なんかよくわからないけど惹かれたんです。先輩のダンスをみて、歌を聴いてすごい惹きつけられたって言うんですかね。気づいたら声をかけてたんです。そこから昼休みに渡り廊下に行って先輩が練習してるとこみてどんどん惹かれたんです。体験入部でもやっぱり先輩はみんなより輝いてるなって思いました」

「うんうん、それで?」

「それから夜俊とご飯食べてたらアルバイトの帰りの先輩に会って一緒に帰ったんです。その時先輩が一瞬、一瞬だけ悲しそうな顔したんです。いつも笑顔の先輩が。先輩の笑顔の裏側を知って俺が支えたい、俺が守りたいって思ったんです」

「でも好美はバイトで忙しいじゃない?それでも星くんは平気?」

「先輩が頑張ってるのを応援したいのでそんなワガママを言うつもりはないです。ただ、先輩が辛い時はそばにいたいと思ってます」

「星くんは好美と元カレのこと知ってる?」

「あ、少し先輩から聞きました」

「好美はさ、かわいいし元気で明るいからそれなりに人気があってさ。彼氏ができた時はすごく嬉しそうに言ってきたの。その時の好美はすごい幸せそうで。でも、相手が好美が忙しいのを分かってあげられなくて別れちゃったんだよね。好美は辛いはずなのに泣いたりとかしなくていつも笑ってた。一度だってわたしに何か言ってきたことなんてないの」

「…」

「でも星くんなら任せられるかなって」

「俺ならですか?」

「今の話聞いて確信したよ。星くんになら好美を任せられる。好美に辛い思いさせないと思う」

「でも俺ほんとはちょっと自信ないんです」

「え?どうして?」

「先輩と会ってそんなに経ってないし先輩のすべてを分かってるわけじゃないし。だから俺でいいのかな?って思うんです」

「なに弱気になってるのよ!さっきまで強気になってた星くんはどこ行ったの?好美を想う気持ちは伝わってきたよ?だから星くんなら大丈夫だとわたしは思うよ?」

「もちろん先輩を守りたいです。先輩のこと支えたいです」

「そうそう。それでいいのよ。これから好美のことよろしくね?」

「はい!任せてください」

「じゃあ、わたしこっちだから。またね」

「お疲れ様でした」

俺は宮原先輩と別れて家に帰った。