「虹といったらわたしの中ではこの曲やねん!」

「なんか俺達みたいですね?」

「わたしたち?」

「ん~、俺は先輩のこと守りたいって思ってるし、先輩が辛い時はそばにいるし、先輩の涙が虹色みたいにきれいとか」

「涙が虹色ってどういうことやねん笑」

「きれいだったってことですよ」

「涙にきれいもなにもあらへんがな笑」

「先輩の涙はきれいでした」

「わかったわかった笑あ、星くん!」

「なんですか?」

「おんぶしてや!」

「おんぶですか?」

「いいからはよはよ!」

俺はしゃがんで背中に先輩を乗せた。

「昔な小さいときお父さんがこうやっておんぶしてくれたことがあんねん。その時もこんなこんじで虹がでとってな、それを思い出してん」

「先輩…」

「その時お父さんが言っとった。“虹は人と人を繋ぐ架け橋だ。虹の向こう側には会いたい人がおる”って。この虹の向こう側にお父さんがおんねんな~」

「そうですね。きっとぼくたちのことみてますよ」

「それははずかしい。はい、星くん降ろして」

「え~。もう少しこのままで」

「いややわ。重いからはよ降ろして」

俺はしぶしぶ先輩を降ろした。

全然重くなかったけど。

「そろそろ予鈴鳴るからまた部活でな!」

先輩は颯爽と駆けて行った。

教室に戻ると俊が俺を待ち構えていた。

「おい隆太どこ行ってたんだよ?」

「だからどこだっていいだろ」

「教えてくれたっていいじゃん?」

「俊には教えねえって」

「んでなんでそんな機嫌いいわけ?」

「は?」

「なんかスキップして帰ってきたし」

え?俺スキップなんてしてたの?

めっちゃはずかしいやつ。

「んでなにがあったんだよ?」

「あ~、…」

「はい、じゃあ授業始めるぞー」

「うわ、まじかよ。よし、隆太LINEするわ」

「なんで同じ教室にいるのにLINEしなきゃいけねえんだよ」

「俺と隆太席離れてんだからしょうがねえだろ。とりあえずなにがあったか全部教えてもらうからな」

「わかったよ、しつこいな」