ー朝

「いらっしゃいませ、おはようございまーす!」

「ありがとうございました!またお越しくださいませー!」

「河上さん、もうあがっていいわよ。いってらっしゃい」

「お疲れ様です!いってきます」

わたしは外で待ってる星くんのところに行った。


「あ、星くんお待たせ!」

「おはようございます」

「んふふ、おはよ~」

「先輩お疲れ様です」

星くんはココアを差し出してきた。

「え、これどうしたん?」

「先輩が着替えてる時に買いました」

「ありがとう!わたしココア好きなんよ!」

「よかったです。なんか先輩はココアって感じがしたので」

「へ…?」

「ココアみたいに甘いっていうか…その…甘い笑顔っていうか、なんていうか…」

「な、星くんっ…/」

「へ、変な意味じゃなくていい意味ですよ?素直にそう思っただけなんでそんな気にしないでください…」

「う、うん…」

そんなん初めて言われたから気にしてしまうわ。

「あ、あのさ!どうして一緒に行こうって誘ってくれたん?」

「少しでも先輩と居たかったから」

「ほ、星くん…?」

「なんですか?」

「きょ、今日どうしたん?」

「どうもしてないです。思ったことを言ったまでです」

「…」

「先輩」

「なに?」

「俺、土日って時間ありますか?」

「あ~、土日も1日バイトなんよね」

「コンビニとティッシュ配りですか?」

「ううん。朝からお昼まではコンビニで、13時から15時までキッズダンスの先生してるの」

「え?ダンスの先生してるんですか?」

「知り合いの人がダンススタジオしとってダンス好きならやってみないかって。ボランティアじゃなくて仕事として雇ってくれはるっていうから。わたし子供も好きやし教えるのも勉強になるやろ?キッズクラスの時間が終わったらバイトまでスタジオ貸してくはるからダンスの練習もできるから続けてるんよ」

「じゃあそのあとはティッシュ配りってかんじですか?」

「そやで!やから3つ掛け持ちってとこやね」

「先輩…俺そんなこと言われると余計心配です。それでちゃんとご飯食べないなんてダメですよ」

「おにぎりと野菜ジュースで生きていけるからだいじょぶやって!」

「先輩…どうしてそんなに頑張るんですか?ひとり暮らししててもそこまで頑張る必要なんてないですよ」

「お金も必要やし、ダンスうまくなりたいからこれくらいしないとダメなんよ。ダンスとかバイトしてれば余計なこと考えないで済むし」

「なにがあってそこまでするんですか?」

「…」

「あ、すいません。俺なんかが深く聞いちゃって…」

「ううん、だいじょぶ。心配してくれてありがとな?でもわたしはだいじょぶやから心配せんとって!じゃあまた昼休みか部活で!」

いつの間にか学校に着いていたのでわたしは教室に向かって走った。

「はあ…俺なにやってんだよ…」