「お待たせ~」
「何買ったんですか?」
「ん?夜ご飯!」
「バイト終わってからご飯食べてるんですか?」
「うん。部活終わったらすぐバイトやから終わってから食べんねん」
「部活であんなに動いてそれでバイトって腹減りませんか?」
「うーん…部活は踊ることに集中してるし、バイトはティッシュ配って先輩たちと喋ったりしてるからあんまりそう思わんかな~?」
「栄養失調で倒れないでくださいよ」
「だいじょぶだいじょぶ!そういう時はカロリーメイトで栄養補給しとるから!」
「そんなんじゃなくてちゃんと食べてくださいよ」
「いや~、そんな時間ないしお腹すかないし?」
「先輩1年の時からそんな生活してたんですか?」
「そやで!朝はコンビニでバイトしてから学校行って、部活とか授業終わったらティッシュ配りしてんねん!」
「え?朝バイトしてから学校来てるんですか?」
「うん!朝のコンビニは時給高いからな!」
「どうしてそんなに…」
「わたしな、ひとり暮らししてんねん。ほんとは今の学校遠いから辞めなさいって親に言われててん。でもどうしてもダンス部にはいりたかってん。ダンス部がある学校このへんだと今のとこしかないから。やから、ひとり暮らしして通ってんねん!無理を言って学校通わせてもらってるから自分で働いて少しでも親の負担を減らさないといかんやん?そやからバイト掛け持ちして生活してんねん」
「そうなんですね…えらいですね先輩は」
「これくらい当たり前やろ?」
「いやいや。俺が先輩の立場だとしてもさすがに朝までバイトしないし部活ある日もバイトはいれないですよ」
「だって時間もったいないやん!時間あるなら働いて稼がんと!」
「そういうところがえらいと思います。でも体だけは壊さないでください」
「わかってるって!星くんありがとう!」
「辛いなら時には休むことも必要です」
「わたしは辛くないからだいじょぶだよ」
先輩はいつもの明るい笑顔ではなく悲しそうに下を向いた。
「あ、わたしの家ここ!じゃあ星くんまたね!おやすみなさい」
「おやすみなさい」
最後はいつもの明るい笑顔だった。