そろそろかな、と時計を見れば計ったように10時5分前。


インターホンが鳴る音。
続いて階段を駆け上がる足音。


「双葉、高瀬先輩来たよ」


お姉ちゃんはそれだけを残して、急ぐように隣のドアを閉める音がした。


まだ……、未練があったんだ。
馬鹿みたい。
もう、愁ちゃんはあたしのモノなのに。


沸き上がる笑みを堪えるのに必死だった。


一息、大きく吸い込み吐き出す。
自然な笑みを鏡に向かって作る。


よし!