Blackberry〜黒い果実〜

考えをまとめると、その日は覚悟を決める余裕もなくやって来た。


次の日の夕方。
いつも通りに、出勤の準備をしているときだった。


滅多に鳴ることのないチャイムにメイク中の手が、ビクッとその動きを止める。
そっと立ち上がりインターホンの受話器を手にとる。


『はい……』


震える唇から、渇いた声を搾り出した。
代わりに受話器から聞こえる優しい声。


『こんばんは、やっと会えたね』