タ、タンと滴る水の音に、意識が今へと引き戻された。
額に当てていた手をベッドの上に突くと、ガサリとした感触。


視線を向けると一片のメモ紙と鍵が一つ。


“鍵はポストに入れておいてください”


メモ紙と鍵を交互に見つめ、鍵を手に取りぐっとにぎりしめた。


「ありがとう」
それすら伝えてないのに、はい、そうですかと帰れる訳が無い。


まだ、肌が彼女の情熱を覚えているのに……。


栓の緩い蛇口を遠目で見つめ、呟く。


「抱いたのは、ただ好みのタイプだったからだ……」