Blackberry〜黒い果実〜

そして、気が付いたらこの部屋のベッドで横になっている自分がいた。


うっすらと、断続的に記憶が浮かび上がる。


――ひんやりとした手が頬に触れ、甘い香りが鼻孔をくすぐる。


「大丈夫……、ですか?」


心地良い冷たさに少し目を開けると、茶色い髪をふんわりと巻いた彼女がいた。
八の字になった眉毛が心配そうな顔を作り、切れのある瞳が俺を捕らえる。


「お水、飲めますか?」