Blackberry〜黒い果実〜

値踏みをするようにもう一度、ブレスレットに視線を向ける竜司。


「そうだね。これだと20万くらいするんじゃないかな?」


「そんなに!?」


ブレスレットを私の手に戻して、竜司はもう一度抱き着いてきた。
今度は力強く。


「なんか悔しいな……」


でもそんな竜司から漏れたのは、力無い一言。


「えっ?」


「今の俺には、そんなの一葉に贈れない」