「花見のだよ。さあ」


促されるまま一本引くと、しっかりとその先には赤い印。
課長の顔がさらに笑顔になる。


「じゃあ、高瀬は午後から花見の場所取りに行ってくれ」


「はい」


本当は知っているんだ。
箱の中には当たりしか入っていないことを。


この課で俺が一番若いから仕方ないけど、ストレートに“場所取りに行ってくれ”と言われたほうが良かった。