「おい、高瀬」


見積書の金額を打ち込んでいる途中で、課長に呼ばれた。
微妙に笑みを含んでいるその表情が怪しく、すぐに返事をするのを躊躇う。


すると、課長が手に箱のような物を持ってこっちへやって来た。


「高瀬、一本引け。先っちょが赤かったら、場所取りな」


「場所取り?」


あっ、そういえば回覧で花見をするって廻っていたような……。


そんなことを思い出していると、急かすように箱を押し付けられる。