Blackberry〜黒い果実〜

先程までの喧騒とは無縁なほど静まり返った家。


もう、お母さんも双葉も寝てしまっているんだ。
明かりの消えたリビングが、そう感じさせた。


静寂を掻き消すメロディ。
慌ててバッグから携帯を取り出すと、竜司からのメールだった。


『もうウチに着いたかな? 今日はありがとう。楽しかったよ』


気の利いた文面でもなければ、甘い言葉が書いてある訳でもないのに……。


なんでこんなにもドキドキしてしまうんだろう。