Blackberry〜黒い果実〜

「じゃあ、なんて?」


彼の顔が笑顔に戻る。
悪い人じゃないかも。


「一葉」


この人は、“若葉”じゃなく“一葉”の私を見てくれるかもしれない。


「それが本名?」


問い掛けにコクリと頷く。


「教えてくれて、ありがと」


嬉しそうにそう言った彼は、そのままの勢いで私に抱き着いてきた。


瞬間の触れ合い。
彼はすぐに飛びのき、ばつが悪そうな顔をする。


「調子に乗りすぎかな?」


彼の一連の動作に、胸がざわつく。