閑散とした繁華街に東から光が上がる頃、その光から逃れるように路地裏に入る。


暗がりに取り残された蛍光灯の下、鉄製の扉を見つめる。


ここに来るのは二度目になる。
一度目は金に困ってホストの仕事を紹介してもらったとき。


あの時もこんな重苦しい気持ちだった。


いまも似たような気持ちになるのは、“先輩からの頼み事なんてきっとろくなことはない”と思っているからだろう。


ため息に近い深呼吸を一度。
横にあるインターホンを押した。