それでも無情に時計の針は動き、毎日は流れていく。


さすがに、もう起きなきゃ。


手に持っていた時計を元の位置に戻して、代わりに赤い縁のメガネを取る。
パジャマから部屋着用の白いジャージに着替えて部屋を出た。


メガネをかけて階段を降りると、リビングのドアが開いてお母さんが顔を出す。


「やっと起きた。コーヒー飲む? 朝ご飯は?」


「うん、朝ご飯はいいや。コーヒーだけ頂戴」