それはたった一度きり、互いの胸に秘めた秘密。
変わらずの関係を続けて2か月が経った頃、
桜の身体に異変が起きた。
厨房にたちこめる、できたての料理の匂いで吐き気を催すようになった。
掃除をしていると、立ち眩みすることが増えた。
むくむようになり、制服が小さくなった。
思い当たることは、ひとつだった。
「…いつから、来てない…?」
カレンダーを見つめて呟く。
「…まさか、よね…」
猜疑心はどんどんと膨らみ不安を煽る。
違うと信じたいけれど、何より自分の身体が真実を告げている。
「…啓志さん…どうすればいいの…?」
自分で自分の身体を抱き締めれば、きり、とお腹が痛んだ気がした。