「ちょ、返してよっ…」 取り返そうと立ち上がるけど、届かない。 私だって背は高い方なのに、 雅人はそれよりも大きい。 上に上げられてしまえば為す術は無くて。 「眼鏡無いとどんくらい見えないの?」 「…この距離だし、あんたの顔くらいは見えるけど… その他は色とか、シルエットくらいしか見えないわ」 「へー。ね、そのまま上見て」 「…?」 不思議に思いながらも、上を向く。 「…青…」 一面の青。 空だ。