とりあえず、と手を振り返すと、 雅人が駆け寄ってきた。 「はい!」 「…貝殻…」 薄いピンク色の、小さな貝殻。 「綺麗じゃない?」 「…うん、綺麗ね」 顔が綻んでいた事には、気づかなかった。 雅人がそんな私を見て微笑んでいた事にも。 「あっ」 「うわ、度きっつ!」 貝殻を眺めていたら、眼鏡を取られてしまった。