それから、うそでも甘い雰囲気を味わえたうれしさと、バツの悪さ。



複雑な感情が絡まって、あたしは冷泉くんの腕をぺシッと叩いた。



「バカ、バカ、バカッ!!」



「はいはい。
期待だけさせてごめんね」



「……っく。
期待なんかっ……」



「へー。
目まで閉じて、待ってたクセに?」



「……っ。
待ってない、待ってない!!」



「はいはい。
わかった。
わかった」



冷泉くんは、ポンポンあたしの頭を叩いて、軽くいなす。