体育祭のあとからみんなの目の色が変わっていることが芹花にも最近ようやくわかってきたころだった。











それは恋の芽生えということだろう。












女子の目が輝いて見えるとは、言ったものだろう。











芹花にはそんな女子の現状はまったくと言っていいほどわからないのだが。











「芹花ちゃん、文化祭何したい?」











「劇とかかな?お化け屋敷でも楽しいだろうけど。」











芹花とよく話すようになった藤原千夏(ふじわらちなつ)ちゃんと、最近1日1回はするようになった文化祭の話は、みんなを浮かれさせる原因ともなった。











「劇なら芹花ちゃんはきっとお姫様の役が似合いそうだよね。」











「私は裏方がいいよ。みんなの劇を外から見ていたいし。」











「私も〜、けど、その可愛さを外にお披露目出来ないのが悲しいわ。」











千夏はまるでお母さんかのようにそう言って小指をスラッとあげた。











その話をするようになって一週間後のロングホームルーム(略してLHR)で文化祭の話が出た。











「じゃぁ、奥村、木村。前に立って適当に決めちゃって。」












ブーイングしながら渋々二人は前に立って











「じゃぁやりたいことなんかある人挙手していって〜、」











と言って黒板に何かを書き出そうとする準備をし始めた。











すると、千夏が手を挙げて











「シンデレラは?」











と言った。











すると、











「なに?」











と優真が答えた。











「お前のことじゃねーよ。シンデレラ。」











と前に出た一人が優真にツッコむと、











「シンデレラに決まったら確実に主役は灰藤な。」











と誰かが言うとみんなが賛成して











「それいいじゃん!男女逆転にしようぜ!」











と男子が言うとみんなそれにまた賛成してすぐにシンデレラと決まってしまった。











後に優真は、











「返事なんてするんじゃなかった…。」











と泣きそうな顔で漏らしていた。