窓の外で信号待ちをしている車の横を
女子高生が笑いながら歩く姿を見た時
にある考えが突然健の中で
浮かんできた。

(そうだ、そうだよ。

淳ちゃんはまだキス以上の経験はない
はずだから俺が先に予習しておけば、
淳ちゃんととそういった関係になった
時にスムーズに行くはずだよ。

そうだ。これは浮気じゃないんだ。

俺は青山先生に恋愛感情はないし、
週一回の関係だ。

だから俺は淳ちゃんの為に
恋の予習をしているだけなんだ。

そうだよ、悩むことなんか
ないんだよ)

今まで女性と交際したことのない
健は、一度に二人の女性から好意を
寄せられて完全に舞い上がってしま
っていた。

身勝手すぎる破綻した論理で自己を
正当化させた健は、車内広告を見ながら
次の週末に淳とどこへ行こうかと考えて
にやけていた。