午後の授業が終わり、放課後になった。

カバンの中に教科書を入れていると、テンション上がりまくりの二人がやって来た。

「蒼空~、このあとカラオケ行くんだけど一緒に行かない?」
『今日は勉強したいからやめとくね。』

二人はあからさまにテンションを下げてそっか……と言った。

「じゃあ今度は三人で行こうね?」
『はいはい、わかったから二人で楽しんでおいで。』
「んー、じゃあねー。」

二人はそう言うとなに歌う?などと言いながら出ていった。

よし、そろそろ行こうかな

席から立ち上がり、行きつけのカフェに直行した

「あら、今日は遅かったのね?」

カフェのおばさんの俊子さんだ。
小さい頃に父親とこのカフェに来たことがきっかけでよく来るようになった。

『うん。友達と喋ってたから。』

今では一人で来て、勉強してから帰るのが日課になっていた。

「いつものカフェラテでいい?」
『うん。』

勉強道具を机の上に出して、ノートを開けていると目の前にカフェラテが置かれた。

『ありがとう。俊子さん。』
「いいえ、どういたしまして。」

笑顔でそう言うとおばさんはこれはサービスね?と言い、サンドイッチをくれた。

一口食べて美味しいと答えると、良かったと嬉しそうな表情を浮かべた。

「あーー!蒼空おねえちゃんだ!」

この声の正体は俊子さんの息子の幸哉くんだ。
幸哉が小さい頃から一緒に遊んでいたのですっかりなつかれている。

『幸哉!おかえり。』

幸哉の頭を撫でると、幸哉は微笑んでいた。

「幸哉、手洗いうがいしてらっしゃい。」
「はーい。」

おばさんに言われて、奥に引っ込んでいった。

「本当に蒼空ちゃんになついてるわね」
『嬉しいことです。』

そっかと言い、おばさんはふふっと笑って戻っていった。

さてと、サンドイッチでお腹が満たされたから、勉強始めるかな。

気合いをいれて勉強に取りかかった。

『おばさん、ご馳走さま。』

そう言ってカバンから財布を取り出した。

「あー蒼空ちゃん、お金は要らないっていつも言ってるでしょ?」

『でも……。』

一度言ったことを変えるつもりはないからね?とおばさんは笑って答えた。
小さな声でありがとうと答えるとおばさんは微笑んだ。

「どういたしまして、またおいで。」

おばさんの返事を聞いて店を出た。