『中宮様!』 松の君が、珍しく私を呼んだ。 中宮になって初めてだ。 『新しくご側室が来られるとか。』 『存じております。』 『急に決まったのじゃ 無理やりに等しい。藤原家がとうと う…』 『仕方のないことです。』 『何を言うか、鶴の君がご懐妊するかもし れぬのに。』 『仕方のない事なのです。』