「あら、もう帰るの? 今日は泊まっていけばいいのに」

玄関で靴を履いている俺に、寂しそうな顔をする母親。

「ごめん。花には帰るって言ってあるから」

両手を合わせて遠慮すると、母親はガッカリしながらも、重箱に残っていたおせち料理をタッパーに詰めてくれた。

「今度は花ちゃんも連れてきなさい。お母さんも久しぶりに会いたいわ」

そう見送られた俺は、笑顔で手を振りながら車に乗り込んでいく。