「そっかぁ。じゃあ、1人暮らしの男と付き合って、相手の家に住みついちゃうとかは? それか、店長に頼んで、店で寝泊りさせてもらうとか」

自分のことじゃないから、百合は軽い口調で冗談を言ってくる。

他人の不幸を親身になって考える人なんていない。

所詮、人間なんてそんなものだ。

中学2年のときに痛い目を見たから、そういうものだってことはわかってるし、相手に怒っても仕方がないってことも知っている。

百合は悪気があって、そんな冗談を言ってるんじゃない。

他人事だから笑ってるんだ。

これが当たり前なんだから、ムッとして怒っても無駄だし、同情したふりを見るよりは、こんな風に笑われるほうがまだマシ。

あたしは自分にそう言い聞かせながら、面白くもない彼女の言葉にケラケラ笑う。

これが、あたし「松浦 花」の考え方だ。

あたしはずっとこう考えながら生きてる。