3LDKの城 ① 途中まで公開


花の考えていることが全くわからなかった。

首を傾げる俺たちに、花はためらいながらも次の台詞を用意する。

「あ、あたしもこの家に住もうと思ってるのに!!」

目を細めながら、彼女は今にも泣きだしそうな声で叫んだ。

……開いた口が塞がらなかった。

顔を引きつらせながらも、理由を聞いてみる。

眉間にしわを寄せる彼女は、俺のそばで佇んでいる常盤を睨みながら、ゆっくり話し始めた。

花の理由もたいしたことはなく、どこか常盤と似ているものだった。

「行くとこないの!! お金もないの!!」

すがりつくような目で訴えてくる、花。

いとこなだけに、行く場所がない理由は聞かなくてもわかる。