3LDKの城 ① 途中まで公開


「頼むよ、陽平ちゃん!! 俺、他に行くとこなんてないんだよぉ!!」

土下座を続ける常盤は、嘆くような声で頼んでくる。

「実家に帰ればいいだろ」

交友関係のことまで口を出すつもりはないけれど、一緒に暮らすことになるのは真っ平ごめんだ。

ただでさえ、仕事の邪魔をしてきたり、こうやって家にズカズカ入ってくるような奴なのに、一緒に住んだりしたら振り回されるのが目に見えている。

「色々迷惑掛けたりしてたから、親には縁を切られてるんだよね」

ニカッと笑いながら、頭をポリポリかく常盤。

「……ろくでもないな」

返す言葉がなくて、ため息ばかりが零れる。