「女の友情って、本当にもろいよね」
商店街の奥にある不動産屋の前で、バイト仲間を連れたあたしは独り言のようにつぶやいた。
正月の準備で忙しい主婦たちが訪れているせいか、近くのスーパーマーケットは賑わっていて、まるでバーゲンセールをしているみたい。
「男が出来ると変わる女はたくさんいるからねぇ」
バイト仲間の「百合」は、腕を組んだまましらけた口調で返してくる。
今日のあたしは1番運勢が良いはずなのに、どうしてこんなことをしているのだろう。
ドアに貼ってある物件の張り紙には、どれも「敷金」という文字が書いてあり、そこにある数字はあたしの希望額とは程遠い。
今更だけど、住んでいた1Kの部屋を手放したこと、ものすごく後悔してる。



